養育費と調停のメリットとデメリット

養育費と調停のメリットとデメリット

 

養育費と調停のメリットとデメリット

さて、裁判所と聞くと、みなさんの持つイメージは、普通の民事事件と重なることもあると思いますが、離婚の調停や養育費の決定などは、家庭裁判所で行われます。

 

家庭裁判所と言う場所は、法律に不慣れな人などが、大きなトラブルを抱えた際に、助けになるように作られました。

 

解決のための手続きを教えてくれる場所であり、同時に、トラブルを解決させるために手助けをしてくれるところです。調停であっても、基本的には、夫婦での話し合いで決めることになります。

 

調停では、調停委員と呼ばれる、家事審判官1人と、家事調停委員、2人が夫婦の間に入ってくれます。

 

双方の意見を聞いて、助言をしてくれますので、二人だけで話し合っているよりは、話がまとまる可能性が高いです。

 

この方法でも、養育費の話がまとまらず、調停が不成立の場合は、最終的に家事審判によって、相応しい養育費の金額を決めてくれます。

 

相談員は、離婚相談など、中立的立場で手続きを教えてくれますが、法律家ではないので、どちらかの味方だとか、どちらかに有利になるようにとか、そうしたことは教えてくれません。

 

あくまでも、中立ということで、どちらが良い、悪い、よりも、両方が納得できるように話し合いを進めてくれるところです。

 

メリットとしては、その費用が安いことでしょう。申立てに必要な費用は、養育費の対象となるお子さん、1人ごとに収入印紙1200円となります。

 

また、連絡用の郵便切手を必要とするところもありますが、これは地域の家庭裁判所によって違ってきますので、申立てをしようとする家庭裁判所で費用の確認をして下さい。

 

申立てに必要な書類は、申立書が1通、申立人と相手、そして、お子さんの戸籍謄本各1通です。

 

ケースによっては、戸籍謄本のほかにも、必要資料の提出を求められることもあります。双方が調停で合意したら、調停が成立したとみなされ、調停調書が作成されます。

 

家庭裁判所で作成された調停調書は、法的効力があり、訴訟における確定判決と同じとされています。相手が合意内容に従わない場合、強制執行も可能です。

 

養育費決定を調停にかけるデメリットは、申し立てから解決するまでに、時間がかかるということでしょう。今週、申し立てをして来週、決まるというようなことはありません。

 

申し立てによって違いますが、一ヶ月に一回くらいの頻度で、日時を定められて、その通知を受けた双方が、家庭裁判所に出向きます。

 

第一回目は、何をするかと言いますと、養育費について、双方の言い分を聞く程度で終了します。

 

これくらいはして欲しいとか、これくらいしか出せないとか、話し合いではなく、言い分を聞くだけで終わります。

 

そして、その後は、回数を重ねる度、お互いに歩み寄りを促すような、妥協案を提示して、解決に向けての調停案を作成します。このような進み方によって、最終的に合意を目指していくのです。

 

ですから、早い場合でも半年はかかりますし、長引くと、1年位かかると思ったほうがいいでしょう。これだけ長引くと、お仕事をしている人は、とても困ると思います。

 

勤務時間内に裁判所に出向かなければならず、仕事に多少の支障が出ることがデメリットでもあります。

 

養育費に関しての調停であっても、他の場合であってもそうですが、通常、家庭裁判所の呼び出しは、平日の昼間です。

 

会社が休みの土日に合わせてくれるわけではありませんし、こちらの予定を優先させてくれることはありません。

 

双方のスケジュールは関係なしに、日程を決められ、呼び出しの日程が決まったら、それに従って出向かなければなりません。

 

家庭裁判所の調停は土日の休日や夜間の対応はしていないため、通常の会社員の方は、これが一年も続くと大変だと思います。

 

そして、他にも調停委員は味方ではないと言うことが、養育費を調停に持ち込むデメリットと言えるでしょう。そもそも、裁判所は、中立であるべき国の機関です。

 

片方の言い分を聞いて、そちらに肩入れをすることはありませんし、どちらか、片方に有利な判断や助言は行っていません。

 

基本的に、法律に基づいた判決を下す裁判と違って、双方の話し合いによって合意に結びつくことを目指しています。ですから、合意がなければ、調停自体は成立しないと言えるでしょう。

 

双方の合意を目指す、家事調停は、裁判とは違い、法律に基づき判決を下すわけではありません。

 

ですから、調停委員は、解決案を提案することはありますが、それには、法律を最重要視してはいないのです。

 

ということは、調停委員がどのようなことを重要視するかが分からない場合、調停では有利に戦えないということも調停のデメリットでしょう。

 

養育費について調停を申し立てた結果、どちらとも、折れずに、合意するに至らない場合、その調停は不成立となります。

 

どちらかが、取り下げなければ、審判へと自動的に移行してしまいます。そこからが、また長くなり、訴訟には、半年から1年かかりますから、こうなってしまえば、精神的にも参ってしまうでしょう。

 

多くの人が、「調停を長引かせたくない」と言う気持ちを持っていますので、調停から裁判になるようなケースは、今のところ、あまりないということです。