養育費の未払い

養育費の未払いで給与の差し押さえは可能?

 

養育費の未払いで給与の差し押さえは可能?

養育費と言うものは、子供が成長して、自立するまでの長い期間に渡って、夫婦で分担するべき費用です。離婚の際に、決めた金額を一括で支払ってもらえれば、何よりも確実ですが、実際はそうはいかないケースが多いでしょう。

 

そんな多額の貯金を持っている方も多くないでしょうから、どうしても月払いになりますよね。子供が小さい場合、成人するまでの間の長期分を、一括して支払うとなれば、その金額がかなり高額になりますからね。

 

ですから、多くのケースは毎月、会社からのお給料が出たら、そこから、養育費を支払うという形をとっています。

 

この「長期に渡って、支払いをする」ということが、養育費の未払いを生じさせていると言えるでしょう。日本における、養育費の未払いや、遅れは、実に80パーセントもあると言われています。

 

と言うことは、当初の約束どおり、きちんと養育費を支払っている人は、10人に2人しかいないということになりますよね。この数字は、子供を育てている親にとっては、とても悲しい現状だと思います。

 

中には支払い能力がなくなって仕方なく延滞している人もいるのでしょうが、それでも、養育費に対して、誠意のある人が少ないことにがっかりする数字ですよね。

 

養育費と言うものは、たいてい、双方の話し合いで、支払い方法や金額が決まります。多くは、口頭での約束をする、また、簡易的な書類を作るだけのケースが多いです。

 

離婚の際に、財産の話や、諸々の手続きの話になると思いますが、そこで養育費がいくら必要なのか、いくらなら払えるのか、そういった話にもなります。

 

 

2人で話し合いをして、合意がとれ、金額が決定したら、何かしら、書面の形で養育費に関する取り決めが、残っていれば安心するという方も多いでしょう。

 

ですが、実は、当事者だけの間で作成した文書は、法的効力はありません。この点を知らない方が多く、別れる際に話し合った結果、特に養育費などの金額について、書面を作成して残しておくという方法が取られているようです。

 

ですが、このように2人の間だけで作った文書は、実際に養育費の未払いが発生した場合、力のないものだと知っておかなければなりません。

 

では、取り決めをした養育費を、どのような形で残しておいたら、その後も安心できるのでしょうか?それは、離婚協議書です。

 

離婚した後、支払われるべき養育費の滞納という事態が起こったら、離婚協議書という文書が効力を発揮します。

 

この離婚協議書は、文章を作るというだけでは出来ません。養育費の未払いが起きた時に、強制力を発揮してくれる公正証書も準備しておくと万全でしょう。

 

この公正証書、みなさんはご存知でしょうか?私たち一般人には、それほど聞きなれないものでしょうが、公正証書は、その最大の特徴として、法的に効力が強い書類だということが言えます。

 

公正証書で決められている養育金額が未払いになったら、強制執行の申し立ての手続きに入ることが可能となります。また、2005年に施行された法律によって、養育費の支払いが遅れると、さらに制裁金がプラスされることになりました。

 

 

制裁金がプラスされるだけでなく、この先の養育費に当てる目的で、給与の差し押さえも可能になります。あらかじめ、養育費を支払う側の給料から、養育費に当たる金額を天引きしてしまうため、滞納が出来なくなるのです。

 

「子供のためだから、きちんと支払う」という気持ちが離婚当初にあったとしても、離婚から年月が経つに連れて、その気持ちが薄れてしまう方も多いことでしょう。

 

一緒に暮らしていたころは、子供が可愛かったけれど、離れているうちに、その愛情もなくなってしまうような親が実際にいるのです。

 

そうなれば、子供のためのお金だとしても、養育費を払いたくないと思ってしまうでしょう。子供のことを第一に考えれば、支払ってあげるべき養育費を滞納してしまうことは、人間的にどうかと思いますよね。

 

もちろん、自分が生活するためのお金に困っているのでしたら別ですが、給料をきちんともらっているにも関わらず、養育費を滞納させるというケースが増えていることも事実です。

 

養育費が未払いになってしまった場合、催促や話し合いをすると思います。ですが、それでも払ってくれない場合や、話し合いで解決できない場合、こうした自体には、法的に対策を取ることが一番です。

 

そのためには、離婚をする際、養育費については、強制執行認諾約款付きの公正証書を残しておきます。

 

こうすることで、強制執行の手続きがしやすくなりますので、万が一の場合も安心です。親としての責任を果たさない人が増えてきた中、こうした対策も必要です。